(初めての人事労務)従業員数が50人以上になったらやるべきこと

従業員数が増えるごとに、会社として義務化されていることも増えていきますが、今回は事業場の人数が50人以上となった場合に行わなければならないことを、全業種対象となるものに絞って整理していきます。


<労働者を常時50人以上使用している事業場の義務>

1⃣産業医の選任

職場において労働者の健康管理等を効果的に行うためには、医学に関する専門的な知識が不可欠なことから、常時 50 人以上の労働者を使用する事業場においては、事業者は、産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければならないこととなっています。

事業場の規模に応じて、以下の人数の産業医を選任します。
(1)50人~3,000人・・・ 1名以上選任
(2)3,001人~   ・・・ 2名以上選任
※常時 1,000 人以上の労働者を使用する事業場と、労働安全衛生規則第 13 条第 1 項第 2 号に掲げる業務に常時 500人以上の労働者を従事させる事業場では、その事業場に専属の産業医を選任しなければなりません。

2⃣衛生管理者の選任

労働安全衛生法第12条では、常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場で衛生管理者を選任し、その者に安全衛生業務のうち、衛生に係る技術的事項を管理させることとなっています。

事業場の規模ごとに選任しなければならない衛生管理者の数は、次のとおりです。
(1)50人    ~  200人・・・1人
(2)201人  ~  500人・・・2人
(3)501人  ~ 1,000人・・・3人
(4)1,001人 ~ 2,000人・・・4人
(5)2,001人 ~ 3,000人・・・5人
(6)3,001人 ~     ・・・6人

※また、次に該当する事業場にあっては、衛生管理者のうち1人を専任の衛生管理者とすることとなっています。

業種にかかわらず常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働または一定の有害な業務に常時30人以上の労働者を従事させるもの

なお、常時500人を超える労働者を使用する事業場で、エックス線等の有害放射線にさらされる業務や鉛等の有害物を発散する場所における業務などに常時30人以上の労働者を従事させる場合は、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任することとなっています。

3⃣衛生委員会の開催

常時使用する労働者が50人以上の事業場(全業種)は、衛生委員会を設置し、毎月1回以上開催する必要があります。
労働災害防止の取り組みは労使が一体となって行う必要があり、そのためには安全委員会や衛生委員会において、労働者の危険又は健康障害を防止するための基本となるべき対策(労働災害の原因及び再発防止対策等)などの重要事項について十分な調査審議を行う必要があります。

衛生委員会で調査審議すべき主な事項は以下のとおりです。

(1)衛生に関する規程の作成に関すること。
(2)衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。
(3)衛生教育の実施計画の作成に関すること。
(4)定期健康診断等の結果に対する対策の樹立に関すること。
(5)長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
(6)労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。

4⃣産業医、衛生管理者の選任報告

常時使用する労働者が50人以上の事業場について、産業医、衛生管理者を選任した場合は、管轄の労働基準監督署へ選任報告が必要となります。

(記載例)https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/library/tokyo-roudoukyoku/secondpage/image/todokede-imege/houkoku.pdf

5⃣ストレスチェックの実施

ストレスチェックは、会社が労働者の心理的負担の程度を把握するために、1年以内ごとに1回、常時使用する労働者に対して行う必要があります。

対象となる労働者は以下のとおりです。

(1)期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該労働契約の契約期間が1年以上である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されているもの及び1年以上引き続き使用されている者を含む)。
(2)その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。

また、管轄の労働基準監督署へ「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」の提出も必要となります。

(様式)https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei36/dl/24_01.pdf

6⃣定期健康診断結果報告書の提出

1人でも常時使用する労働者がいる場合には、1年以内ごとに1回(特定業務に常時従事する労働者に対しては6ヶ月ごとに1回)、定期的に健康診断を行う必要があります。(対象労働者はストレスチェックと同様)

常時50人以上労働者を使用する事業場では、「定期健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署に提出しなければなりません。

(様式)https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei36/dl/18_01.pdf


<番外編:障害者雇用について>

従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。

現在の民間企業の法定雇用率は2.3%です。
従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。

法定雇用率を未達成の企業のうち、常用労働者100人超の企業から、障害者雇用納付金が徴収され、この納付金を元に、法定雇用率を達成している企業に対して、調整金、報奨金が支給されます。


(初めての人事労務)従業員数が100人を超えたらやるべきこと

(初めての人事労務)従業員数が300人・1000人を超えたらやるべきこと



このエントリーをはてなブックマークに追加  
この記事を書いた
Athrunとは?