【令和4年4月1日施行】年金制度の機能強化のための法律改正

社会経済構造の変化に対応するべく、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が公布されたことに伴って、関係法令の整備及び経過措置に関する政令が令和3年8月に交付されました。

より多くの人がこれまでよりも長い期間にわたり多様な形で働くようになることが見込まれる中、今後の社会・経済の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るための改正です。

主な事項について、下記の通り5つまとめてみました。

 

◇年金受給時期の選択肢の拡大

・繰下げ受給の年齢の上限が70歳から75歳へ引き上げられます。待期期間の上限は60月から120月となります。 

・繰下げ受給の年金額の増額率が最大42%であったものが、最大84%に引き上げられます。
(施行日の前日時点で70歳に到達している場合、または受給権を取得した日から5年を経過している場合は対象外です。) 

・年金受給権のある方が65歳前に年金を繰上げて受給する場合、繰上げする減額率の算出に用いる係数が0.5%/月から0.4%/月に引き下げられます。(施行日の前日時点で既に60歳に到達している場合は対象外。です)

 

◇在職老齢年金に定時改定を導入 

・65歳以上の場合、在職中であっても受給権発生以降の厚生年金被保険者期間(以下「被保険者期間」)に基づいて、年金額の改定が毎年定時(以下「在職定時改定」)に実施されます。この改定は年1回実施され、10月改定となります。

・在職定時改定により、被保険者期間の月数が240月以上となった場合は、その時点で、生計維持関係に応じて加給年金額の加算または支給停止、振替加算額の加算または振替加算不該当の処理が行われます。 

・在職定時改定後に離婚分割請求が行われた場合は、分割改定後の標準報酬に基づく基準月(9月)前の被保険者期間を基礎として、年金額の改定が行われます。 

 

◇在職老齢年金の支給停止額の改正 

60歳から64歳に支給される在職老齢年金について、賃金と年金の合計額により、支給停止が開始される基準額が、現行の28万円から47万円に引き上げられます。

 

◇加給年金の支給停止ルールの改善 

加給年金の加算対象となっている配偶者(以下「加対配偶者」)が、被保険者期間の月数240月以上の特別支給の老齢厚生年金(以下「特老厚」)等の受給権を有する場合は、全額が停止されている場合であっても、老齢厚生年金または障害厚生年金の加給年金の支給が停止されます。 

施行日の前日時点で加対配偶者の特老厚等が全額支給停止されていることによって、加給年金が加算されている場合は、一定の条件に該当するまでの間、施行日以降も加給年金の支給を継続する経過措置が設けられます。 

 

◇国民年金手帳の廃止 

新たに国民年金第1号・第2号・第3号被保険者となった方(20歳到達者、20歳前に厚生年金被保険者となった方等)に対する基礎年金番号の通知が、年金手帳から基礎年金番号通知書へ切り替わります。 

年金手帳の再交付は廃止されますが、既に送付されている年金手帳は基礎年金番号を確認する書類として利用可能です。

 



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