(初めての人事労務)休日と休暇、振休と代休の違いは?

普段勤怠チェックや給与計算、就業規則作成等の業務に携わっていない一般の従業員や、初めて人事労務に携わることとなった方は、「休日と休暇」「振替休日と代休」の違いについて、正しく理解されているケースはそう多くはないかもしれません。

今回は、それぞれ似て非なるものである「休日と休暇」「振替休日と代休」の違いについて、説明していきたいと思います!


1⃣「休日」と「休暇」の違い

〇「休日」とは?

休日とは、労働契約において労働義務がないとされている日をいいます。
法定休日は、原則として1週間に1日与える必要があり、例外として4週間に4日与えることも可能です(ただし就業規則等で4週間の起算日を明らかにする必要あり)。

また、所定休日は法定休日以外に任意で定めるものとなり、日曜日を法定休日とし、土曜祝日を所定休日とするなど、就業規則で定めることが可能です。
夏季休暇や年末年始休暇を、「休日」とするか「休暇」とするかも会社が定める就業規則によるところとなります。

休日は、原則として暦日、すなわち午前0時から午後12時までの24時間をいいます。
午前0時から午後12時までの間に勤務しない場合が休日であり、所定休日とされている日でも前日の労働が延長されて午前0時を超えた場合などは、休日を与えたことにならないため注意が必要です。

〇「休暇」とは?

休暇とは、労働義務がある日に、会社がその労働義務を免除する日をいいます。
休暇には、法律で定められている有給休暇や育児休業、子の看護休暇、生理休暇などの外、会社が任意で定める特別休暇や誕生日休暇やリフレッシュ休暇などがあります。

〇「休日」と「休暇」の違いが残業代にどう影響するのか?

「休日」か「休暇」は、残業代の時間単価を算出する際に影響してきます。

月給者の1時間当たりの単価を算出する際の計算式は以下のとおりです。

月給÷1年間における1か月平均所定労働時間

次に、1年間における1カ月平均所定労働時間の算出方法は以下のとおりです。

(365-年間所定休日日数)×8(1日の所定労働時間)÷12

この、「年間所定休日日数」は、就業規則で「休日」と定めたものだけをカウントすることとなりますので、「休暇」と定めているものは含まれません。

例えば、夏季休暇を「休日」に含めている場合と「休暇」に含めている場合では、「休日」に含めている方が年間所定労働日数(365-年間所定休日日数)が少なくなるため、時間単価が高くなることになります。

この「休日」と「休暇」の違いを正しく理解していないと、残業計算を誤ってしまうことになりかねませんので、しっかりと理解することが大切です。


2⃣「振替休日」と「代休」の違い

〇「振替休日」とは?

予め休日と定められていた日を労働日とし、かわりに他の労働日を休日に振り替えることを言います。これにより、予め休日と定められた日が「労働日」となり、そのかわりとして振り替えられた日が「休日」となるため、もともとの休日に労働させた日については「休日労働」とはならず、休日労働に対する割増賃金の支払義務も発生しません。

振替休日とする日は、振替出勤とする日の前でも後でも問題ありませんが、あくまでも事前に振替日を指定することが必要となります。

〇「代休」とは?

休日労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものです。前もって休日を振り替えたことにはなりませんので、休日労働分の割増賃金を支払う必要があります。

代休は休日労働が行われた以後にしか取得することができない、また休日を振り替えるわけではないため、割増賃金を支払う必要があるという点が、振替休日と異なる点となります。

〇「振替休日」「代休」の取得期限はあるのか?

「振替休日」の取得期限については、「業務の都合によりあらかじめ休日と定められた日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日とするいわゆる休日の振替を行う場合には、就業規則等においてできる限り、休日振替の具体的自由と振り替えるべき日を規定することが望ましいこと。なお、振り替えるべき日については、振り替えられた日以降できる限り近接している日が望ましいこと」(昭23.7.5 基発968、昭63.3.14基発150)と記載されている通り、できる限り近接した日が望ましいとされていますが、法律で明確に期限を定められているわけではないため、就業規則等で同一週内や、1か月以内などの一定のルールを定めて運用することが可能です。

また、同一週内に振替休日を取得しない場合には、振替出勤を行ったことにより当該週の労働時間が1週間の法定労働時間を超えるときは、その超えた時間については時間外労働となり、時間外労働に関する36協定及び割増賃金の支払が必要ですので注意が必要です。

「代休」については、上記のように特に明記されておりませんので、法律上の取得期限はありません。ただし、あまりにも休日出勤日と代休取得日がかけ離れてしまうと、労務管理も煩雑になることから、振替休日と同様に、就業規則等で一定のルールを定めて運用することが望ましいです。



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