【令和3年4月施行】高年齢者就業確保措置とは?その②

前回、令和3年4月に施行される高年齢者就業確保措置の概要について、以下の記事にてご説明しましたが、今回はもう少し詳しく説明していきます。

(2020年11月24日)【令和3年4月施行】高年齢者就業確保措置とは?

 

1⃣改正ポイントのおさらい


①70歳までの定年引上げ

②定年制の廃止

③70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入

④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

⑤70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入


5つのポイントのうち、③~⑤について詳しく説明します。

 

2⃣70歳までの継続雇用制度について ※ポイントの③

◇65歳以降の継続雇用の範囲◇

65歳以上は、特殊関係事業主以外の他社で継続雇用する制度も可能になります。

〇対象となる高年齢の年齢に応じて、継続雇用することができる事業主の範囲が広がります。
・60歳以上65歳未満が対象の場合:自社、特殊関係事業主
・65歳以上70歳未満が対象の場合:自社、特殊関係事業主に加え、特殊関係事業主以外の他社

※特殊関係事業主とは、自社の①子法人等、②親法人等、③親法人等の子法人等、④関連法人等、⑤親法人等の関連法人等を指します。

 

◇特殊関係事業主等で継続雇用を行う場合に必要な対応◇

特殊関係事業主等(特殊関係事業主または特殊関係事業主以外の他社)で継続雇用する場合には、自社と特殊関係事業主等との間で、特殊関係事業主等が高年齢者を継続して雇用することを約する契約を締結する必要があります。
この契約は、書面により締結することが望ましいです。

【特殊関係事業主等で継続雇用する際の留意点】

・他社で継続雇用する場合にも、可能な限り個々の高年齢者のニーズや知識・経験・能力等に応じた業務内容および労働条件とすることが望ましいです。
・他社において、継続雇用の対象となる高年齢者の知識・経験・能力に対するニーズがあり、これらが活用される業務があるか十分に協議した上で、自社と他社との間での契約を締結することが望ましいです。

 

◇無期転換ルールの特例について◇

・同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合に、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換します。
・適切な雇用管理に関する計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた事業主(特殊関係事業主を含む)の下で、定年後に引き続いて雇用される期間は無期転換申込権が発生しません(65歳を超えて引き続き雇用する場合にも無期転換申込権は発生しません。)。
・一方で、特殊関係事業主以外の他社で継続雇用される場合には、特例の対象にならず、無期転換申込権が発生しますので御留意ください。

 

3⃣創業支援等措置について

◇創業支援等措置とは◇

「創業支援等措置」とは、70歳までの就業確保措置のうち、以下の雇用によらない措置を指します。

・70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入(ポイントの④)
・70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入(ポイントの⑤)
a. 事業主が自ら実施する社会貢献事業
b. 事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

 

◇他の団体で創業支援等措置を行う場合◇

他の団体で上記のbの措置を行う場合、自社と団体との間で、当該団体が高年齢者に対して社会貢献活動に従事する機会を提供することを約する契約を締結する必要があります。
この契約は、書面により締結することが望ましいです。

 

4⃣創業支援等措置の手続き

創業支援等措置を実施する場合には、以下の手続きを行う必要があります。
(パンフレット)改正高年齢者雇用安定法が令和3年4月から施行されます

p3の創業支援等措置の実施に必要な措置についてを参照

1.計画を作成する
2.過半数労働組合等の同意を得る
3.計画を周知する

 

◇計画を作成する際の7つの留意点◇

① 業務の内容について
業務の内容については、高年齢者のニーズを踏まえるとともに、高年齢者の知識・経験・能力等を考慮した上で決定し、契約内容の一方的な決定や不当な契約条件の押し付けにならないようにする必要があります。

② 支払う金銭について
高年齢者に支払う金銭については、業務の内容や当該業務の遂行に必要な知識・経験・能力、業務量等を考慮することが必要です。また、支払期日や支払方法についても記載し、不当な減額や支払を遅延してはいけません。

③ 契約の頻度について
個々の高年齢者の希望を踏まえつつ、個々の業務の内容・難易度や業務量等を考慮し、できるだけ過大又は過小にならないよう適切な業務量や頻度による契約を締結する必要があります。

④ 納品について
成果物の受領に際しては、不当な修正、不当なやり直しの要求又は不当な受領拒否を行わないようにしてください。

⑤ 契約の変更について
契約を変更する際には、高年齢者に支払う金銭や納期等の取扱いを含め労使間で十分に協議を行いましょう。

⑥ 安全・衛生について
高年齢者の安全及び衛生の確保に関して、業務内容を高齢者の能力等に配慮したものとするとともに、創業支援等措置により就業する者についても、同種の業務に労働者が従事する場合における労働契約法に規定する安全配慮義務をはじめとする労働関係法令による保護の内容も勘案しつつ、当該措置を講ずる事業主が委託業務の内容・性格等に応じた適切な配慮を行うことが望ましいです。
また、業務委託に際して機械器具や原材料等を譲渡し、貸与し、又は提供する場合には、当該機械器具や原材料による危害を防止するために必要な措置を講ずる必要があります。さらに、業務の内容及び難易度、業務量並びに納期等を勘案し、作業時間が過大とならないように配慮することが望ましいです。

⑦ 社会貢献事業を実施する団体について
事業主が委託、出資等を行うNPO法人等が実施する社会貢献事業に高年齢者が従事する措置を講ずる場合には、事業主からNPO法人等に対する個々の援助が、社会貢献事業の円滑な実施に必要なものに該当する必要があります。

 

長くなってしまったので今回はここまで。
改正点がもう少しあるため、改めて記事を作成してご案内します!

 



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