
改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)により、令和8年4月1日から、職場における治療と就業の両立支援の取組が、事業主の努力義務になりました。
治療と就業の両立支援指針(令和8年厚生労働省告示第28号)を踏まえ、社内の環境整備や必要な両立支援の措置を講ずることが求められます。
<治療と就業の両立支援の趣旨>
◇指針の対象
対象労働者:雇用形態に関わらず全ての労働者
対象疾病:反復・継続した治療が必要と医師が判断した疾病(国際疾病分類に基づく。負傷含む。)
◇病気を抱える労働者の状況
がん等の病気を抱える労働者の中には、職場の理解や支援体制が十分でなく、就業をあきらめてしまうケースが少なくありません。今後、高齢者の就労の増加等を背景に、どの職場でも、病気を治療しながら仕事をする労働者は増えていきます。
◇治療と就業の両立支援とは
大切な人材が病気になっても、治療を受けながら安心して働き続けられるよう支援するため、本人からの相談に応じ、適切に対応できる体制・環境を整備し、必要な就業上の調整や配慮を行う取組です。
◇両立支援に取り組む意義
労働者の健康確保及び就業継続とともに、社員全体の安心感やモチベーションの向上による人材の定着、生産性の向上といった企業の成⾧につながります。
<両立支援を行うための環境整備>
労働者が安心して支援を求める申出を行えるように、また、支援の必要性が生じてから事業場内の制度や体制等について検討を始めていては適切な対応を行うことは困難なため、平時から治療と就業の両立支援を行うための環境を整備しておくことが重要となります。
◇事業主の方針表明
トップとして両立支援に取り組む基本方針を表明し、社内に周知することで、両立支援に向けた職場風土を醸成します。
◇研修等を通じた意識啓発
全ての労働者、管理職に対して、研修等を通じて意識啓発を行いましょう。
◇相談窓口の明確化・社内の支援体制の整備
労働者が安心して相談や支援の申出を行うことができるように、相談窓口や申出が行われた場合の情報の取扱い等を明確にします。関係者(事業主、人事労務担当者、産業保健スタッフ、上司・同僚等)の役割や対応手順をあらかじめ整理しておくことが望まれます。
◇社内制度(休暇制度・勤務制度)の整備
治療と就業の両立支援においては、短時間の治療が定期的に繰り返される場合、就業時間に一定の制限が必要な場合、通勤による負担軽減のために出勤時間をずらす必要がある場合等があることから、以下のような休暇制度、勤務制度を各事業場の実情に応じて導入し、治療のための配慮を行うことが望まれます。
・休暇制度(時間単位の年次有給休暇、傷病休暇、病気休暇 等)
・勤務制度(時差出勤制度、短時間勤務制度、在宅勤務制度、試し出勤制度等)
<両立支援を行うに当たっての留意事項>
◇労働者本人の申出
治療と就業の両立支援は、私傷病である疾病に関わるものであることから、労働者本人からの支援を求める申出を端緒として取り組むことが基本となります。
◇労働者との十分な話合い、上司・同僚等の理解
労働者に対する措置等の検討に当たり、事業主が一方的に判断しないよう、以下の取組が必要です。
・ 就業継続の希望や配慮の要望を聴取し、十分な話合い等を通じて労働者本人の了解を得られるよう努める
・ 疾病のり患をもって安易に就業を禁止せず、主治医や産業医等の意見を勘案して、可能な限り配置転換、作業時間の短縮その他の必要な措置を講じて就業の機会を失わせないよう留意する
・ 疾病及びその治療に対する誤解や偏見等が生じないよう、事業主、人事労務担当者、上司・同僚等の関係者において必要な配慮を行う
◇個人情報の保護
労働者が安心して申出を行える環境をつくるため、個人情報の保護も含めた事業場における治療と就業の両立支援のルール及び体制の整備・明確化が重要となります。
<個別の両立支援の進め方>
様式例の活用による、主治医や産業医等と連携した支援フロー

【参考】
厚生労働省|治療と就業の両立支援指針(概要)
この記事を書いた