社会保険手続きの誤りが多い事例

日本年金機構へ届出された手続きのうち、誤りが多かった事例が公開されましたのでご紹介します!


<報酬・賞与の範囲について>

1.賞与等が支払われたときに、賞与支払届が届出されていない。

賞与等が支払われたときには、「被保険者賞与支払届」の届出が必要です。
「被保険者賞与支払届」の対象となる賞与は、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるもののうち、年3回以下の支給のものです。なお、年4回以上支給されるものは標準報酬月額の対象とされ、また、労働の対償とみなされない結婚祝金等は、対象外です。

※日本年金機構に登録している賞与支払予定月に、いずれの被保険者及び70歳以上被用者に対しても賞与を支給しなかった場合は、「健康保険・厚生年金保険 賞与不支給報告書」の提出が必要となります。

2.給与規程等により支給することが定められている手当について資格取得時の報酬に含めていない。

資格取得時の報酬月額は、基本給の他に、通勤手当、役職手当、扶養手当、住宅手当、超過勤務手当(※)等、給与規程等により支給することが定められている諸手当など労務の対償となるすべての報酬を含みます。

※1 超過勤務手当などの非固定的賃金は、同様の業務に従事する者を参考として支給見込み額を算出し、報酬に加算する必要があります。なお、超過勤務手当などの非固定的賃金について、支給見込み額が当初の算定額より増減した場合でも、資格取得時の報酬訂正はできません。
※2 仮に、入社後に従業員から手当の申請が行われ、実態を確認したことにより、初回の給与支給に間に合わず、翌月以降に支給された場合であっても、資格取得時の報酬に含めて計算します。

3.給与規程等により支給することが定められている現物給与について資格取得時の報酬に含めていない。 

報酬または賞与のうち、通貨以外のもので支払われる場合は、現物給与として資格取得時の報酬に含める必要があります。具体的には、住宅(社宅や寮など)の貸与、食事、自社製品、通勤定期券などで支給するものを現物給与といいます。


<短時間労働者の適用について>

1.短時間労働者の労働時間が3か月目以降も加入基準を超える状態が続いているにかかわらず、「被保険者資格取得届」の提出がもれている。 

実際の労働時間が連続する2月において週20時間以上となった場合で、引き続き同様の状態が続いている場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3月目の初日に被保険者の資格を取得します。

2.2月以内の雇用契約者について、雇用契約書に「雇用契約を更新する場合がある」旨の記載があるにもかかわらず「被保険者資格取得届」を提出していない。

最初の雇用契約の期間が2月以内であっても、その雇用契約が「更新される旨」又は「更新される場合がある旨」が明示されている場合、「雇用契約が更新されることが見込まれる場合」に該当するものとして、最初の雇用契約に基づき使用され始めた時に被保険者の資格を取得することになります。
ただし、2月以内で定められた最初の雇用契約の期間を超えて使用しないことについて労使双方が書面による合意しているときは、「2月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」には該当しないことして取り扱います。


<定時決定について>

1.従業員の申請遅れにより、算定基礎届の対象月に遡って手当を支給したが、算定基礎届の訂正届を提出していなかった。

従業員の申請遅れ等により、本来支給するべき月に手当を支給できず、その手当を遡って支給した場合は、支給した月ではなく、本来支給するべき月の報酬に算入する必要があります。
そのため、本来支給するべき月に算定基礎届や月額変更届の対象月がある場合は、遡った手当を含めて算入し直すことが必要です。
また、遡った手当を支給した月を起算月として月額変更届の判断をしている場合は、本来支給するべき月を起算月として月額変更を判断します。


<随時改定について>

1.新たに固定的に支払われる手当を創設し、支給を開始したが、「被保険者報酬月額変更届」が届出されていない。 

新たに創設した固定的手当の支給開始により、次の3つの条件の全てに該当する場合、随時改定に該当するため「被保険者報酬月額変更届」の提出が必要です。
①昇(降)給など固定的賃金に変動があった
②変動月以後3か月の報酬の平均月額が従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた
③変動月以後3か月の報酬の支払基礎日数がいずれも17日以上であった

2.非固定的賃金の単価を変更により、随時改定の要件に該当したが、「被保険者報酬月額変更届」の提出がされていない。 

非固定的賃金の単価変更した場合、固定的賃金の変動に該当します。そのため、非固定的賃金の単価変更以後3か月の報酬の平均月額が従前の標準報酬月額との間に2等級以上差が生じ、かつ非固定的賃金の単価変更以後3か月の報酬の支払基礎日数がいずれも17日以上である場合には「被保険者報酬月額変更届」の提出が必要となります。


【参考URL】

日本年金機構|年金制度説明会【届出誤りが多い事例】



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