リモートワーク前提で海外在住者を現地採用した場合の社会保険・労働保険の適用は?

新型コロナウィルスの影響により、リモートワークが全国で広がりましたが、国内にとどまらず、海外でのリモートワークが行われるケースが増えています。

今回は、リモートワークを前提とした海外在住者を現地採用した場合に、社会保険・労働保険の適用がどのようになるのかについて、説明していきます。
(※現地法人などの事業場がなく日本国内の会社で直接雇用しているケースです)


<健康保険・厚生年金保険>

居住地に関わらず、社会保険加入要件を満たせば加入が必要となります。

また、社会保障協定を締結している国で居住していたとしても、社会保障協定は日本から派遣されて派遣期間が5年を超えない場合に相手国の社会保険の適用を免除されるものですので、当初からリモートワークを前提とした現地採用者には適用となりません。

(参照)厚生労働省|海外で働かれている皆様へ(社会保障協定)


<雇用保険>

出張や海外支店等への転勤など、事業主の命によって国外で働く場合や、海外の現地法人等へ出向する場合には、国内の出向元との雇用関係が継続している限り被保険者となりますが、海外で現地採用され海外で勤務する場合には、日本での就労実績がない限り被保険者となりません。

また、国内で就労していて、事業主の命ではなく自己都合により国外で就労することになった場合にも、被保険者とはなりませんので、資格を喪失する必要があります。

(参照)厚生労働省|雇用保険事務手続きの手引き(第4章 被保険者について))


<労災保険>

労災保険は、従業員の所属している事業場がどこなのか、が重要となります。

現地採用されたものの、現地に事業場はなく日本国内の事業場に所属しリモートワークを行っている場合には、国内の従業員と同様に労災保険の対象となります。

「海外出張」の扱いに近く、特別の手続きを要することなく、所属する国内の事業場の労災保険により給付を受けられます。

現地採用され、所属も現地の事業場である場合には、労災保険の対象となりません。

「海外派遣」の特別加入制度がありますが、これは海外の事業場に所属し、その事業場の使用者の指揮に従って勤務する労働者またはその事業場の使用者(事業主およびその他労働者以外の方)の為の制度であり、あくまで会社の人事異動により海外の事業場に所属することで、本来労災保険の適用外になってしまう人を保護する目的のものとなるため、上記の場合いずれも対象外となります。

(参照)
厚生労働省|特別加入制度のしおり[海外派遣者用](3 海外派遣と海外出張の区分 )
厚生労働省|自宅でのテレワークという働き方



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