厚生労働省より、社会保障協定が新たに発効されることが公表になりました。
23番目の社会保障協定の協定となります。
1月12日、「社会保障に関する日本国とイタリア共和国との間の協定(日・イタリア社会保障協定)」(平成21年2月6日署名)の効力発生のための外交上の公文の交換が東京で行われました。これにより、この協定は令和6年4月1日に効力を生ずることとなります。
現在、日・イタリア両国の企業等からそれぞれ相手国に一時的に派遣される被用者等(企業駐在員等)には、日・イタリア両国で年金制度への加入が義務付けられているため、保険料の二重払いの問題が生じています。日・イタリア社会保障協定は、この問題を解決することを主な目的としており、この協定の規定により、派遣期間が5年以内の見込みの一時派遣被用者等は、原則として、派遣元国の年金制度にのみ加入することとなります。
日・イタリア社会保障協定が発効することにより、企業及び駐在員等の負担が軽減され、日・イタリア両国間の人的・経済交流が一層促進されることが期待されます。
この協定が発効すると、我が国にとって23番目の社会保障協定となります。
<社会保障協定とは?社会保障協定を締結する背景・目的>
国際的な交流が活発化する中、企業から派遣されて海外で働くことや、将来を海外で生活される方が年々増加しています。
海外で働く場合は、働いている国の社会保障制度に加入をする必要がありますが、日本から海外に派遣された企業駐在員等については、日本の社会保障制度との保険料と二重に負担しなければならない場合が生じています。
また、日本や海外の年金を受け取るためには、一定の期間その国の年金に加入しなければならない場合があるため、その国で負担した年金保険料が年金受給につながらないことがあります。
社会保障協定は、以上を踏まえ、以下2点を目的として締結しています。
- 「保険料の二重負担」を防止するために加入するべき制度を二国間で調整する(二重加入の防止)
- 年金受給資格を確保するために、両国の年金制度への加入期間を通算することにより、年金受給のために必要とされる加入期間の要件を満たしやすくする(年金加入期間の通算)
日本が社会保障協定を締結(発効済)している国(22カ国):
ドイツ・英国・韓国・アメリカ・ベルギー・フランス・カナダ・オーストラリア・オランダ・チェコ・スペイン・アイルランド・ブラジル・スイス・ハンガリー・インド・ルクセンブルク・フィリピン・スロバキア・中国・フィンランド・スウェーデン
※英国、韓国、イタリアおよび中国との協定については、「保険料の二重負担防止」のみ
国外での就労について、社会保障協定を含む人事での確認が必要な手続きについては、下記にもまとめております。ご参考になさってください。
(初めての人事労務)日本国外・国内へ出入国する場合【社会保険編】_Part1
(初めての人事労務)日本国外・国内へ出入国する場合【社会保険編】_Part2
【参考URL】
厚生労働省|日・イタリア社会保障協定が本年4月1日に発効します
日本年金機構|社会保障協定
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