令和5年4月より、中小企業の月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が50%になりましたが、この割増賃金率の変更が「賃金体系の変更」に該当し、月額変更の対象となります。
標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集の問7-2では以下のように回答されています。
新たに非固定的賃金の新設がなされたことによる賃金体系の変更を随時改定の契機とする際は、その非固定的賃金の支払の有無に係わらず、非固定的賃金が新設された月を起算月とし、以後の継続した3か月間のいずれかの月において、当該非固定的賃金の支給実績が生じていれば、随時改定対象となる。
なお、非固定的賃金の新設以後の継続した3か月間に受けた報酬のいずれにも当該非固定的賃金の支給実績が生じていなければ、報酬の変動要因としてみなすことができないため、随時改定の対象とはならない。
また、その場合には当該非固定的賃金の支給実績が生じた月を起算月とすることにもならない。
(例)4月の残業代を5月に支給している場合
(パターン①)5月を起算月として、8月の月額変更の対象となる。
5月…60時間超の割増賃金なし
6月…60時間超の割増賃金あり
7月…60時間超の割増賃金なし
(パターン②)月額変更の対象とならない。また、8月を起算月とした月額変更の対象にもならない。
5月…60時間超の割増賃金なし
6月…60時間超の割増賃金なし
7月…60時間超の割増賃金なし
8月…60時間超の割増賃金あり
【参考】
日本年金機構|標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集
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