育児休業中の社会保険手続きで特殊なケースについては、当HPでもいくつかコラムでまとめております。
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今回は育児休業終了後、ご本人が復帰した後に行う手続きについてまとめていきます。
◇育児休業が終了した後に行う手続き◇
1⃣育児休業終了時改定(育児休業終了時月額変更届)
育児休業終了日の翌月(復帰日)が属する月を含めた、3ヶ月分の報酬の平均額が該当する等級と、従前の等級との間に1以上の差が出る場合に届け出ることができます。
(1)育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等(育児休業及び育児休業に準ずる休業)終了日に3歳未満の子を養育している被保険者は、次の条件を満たす場合、随時改定に該当しなくても、育児休業終了日の翌日が属する月以後3カ月間に受けた報酬の平均額に基づき、4カ月目の標準報酬月額から改定することができます。
●これまでの標準報酬月額と改定後の標準報酬月額※との間に1等級以上の差が生じること。
(標準報酬月額は、育児休業終了日の翌日が属する月以後3カ月分の報酬の平均額に基づき算出します。ただし、支払基礎日数が17日未満の月は除きます。)
●育児休業終了日の翌日が属する月以後3カ月のうち、少なくとも1カ月における支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上であること。
(短時間就労者(パート)に係る支払基礎日数の取扱いについては、3カ月のいずれも17日未満の場合は、そのうち15日以上17日未満の月の報酬月額の平均によって算定します。)
(2)育児休業等終了時に3歳未満の子を養育している被保険者からの申出を受けた事業主が「育児休業等終了時報酬月額変更届」を日本年金機構へ提出します。
(3)決定された標準報酬月額は、1月~6月に改定された場合、再び随時改定等がない限り、当年の8月までの各月に適用されます。また、7月~12月に改定された場合は、翌年の8月までの各月に適用されます。
厚生労働省|育児休業等終了時報酬月額変更届の提出
2⃣養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置(養育期間標準報酬月額特例申出書)
子が3歳になるまでの期間について、1⃣の育児休業終了時月額変更届を提出することで下がった標準報酬月額を、下がらなかったものとして年金受給時に計算申請することができます。
(1)次世代育成支援の拡充を目的とし、子どもが3歳までの間、勤務時間短縮等の措置を受けて働き、それに伴って標準報酬月額が低下した場合、子どもを養育する前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができる措置です。
養育期間中の報酬の低下が将来の年金額に影響しないよう、被保険者の申出に基づき、より高い従前の標準報酬月額をその期間の標準報酬月額とみなして年金額を計算します。
(2)従前の標準報酬月額とは養育開始月の前月の標準報酬月額を指しますが、養育開始月の前月に厚生年金保険の被保険者でない場合には、その月前1年以内の直近の被保険者であった月の標準報酬月額が従前の報酬月額とみなされます。その月前1年以内に被保険者期間がない場合は、みなし措置は受けられません。
対象となる期間は、3歳未満の子の養育開始月から3歳到達日の翌日の月の前月まで等です。
日本年金機構|養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置
◇提出に必要な添付書類◇
1⃣育児休業終了時改定
原則、不要ですが、被保険者本人以外の方が電子申請を行う場合は、ご本人および代理の方(会社・社労士)双方の電子署名が必要です。
ただし、被保険者本人が作成した「事業主を代理とする旨の委任状」を添付する場合は、申請者の電子署名の添付を省略することが可能です。
事業主を代理とする旨の委任状のファイルはこちらからダウンロードいただけます。
書面での提出の場合は、書類の被保険者署名欄へ、住所・氏名・電話番号をご本人に記載いただく必要がございます。
2⃣養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置
①戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書
申出者と子の身分関係および子の生年月日を証明できるものが必要です。
ご本人が世帯主の場合は、ご本人と子の身分関係が確認できる住民票の写しでも代用できます。
②住民票
マイナンバーを記載する場合は必要ございません。マイナンバーを記載しないで手続きする場合は添付が必要です。
③住民票の除票
これは、出産後に転居した場合の必要書類です。最新の住民票では、出生時に同じ住所にいることを確認できません。そのため、過去の住所が記載されている除票で確認できる必要があります。②の住民票と同様、マイナンバーを記載している場合は不要です。
☆公的年金等に必要な証明書の手数料免除について
公的年金や(特別)児童扶養手当の手続きに必要な場合、住民票の写し、戸籍全部・個人事項証明書(戸籍謄本・戸籍抄本)、戸籍届出受理証明書等を無料で交付できることがあります。
自治体での発行手続きの際、申請書に「養育期間標準報酬月額特例申出書に添付して提出するため」とご記入いただくことをお勧めします。
◇復帰した後も手続きの確認を忘れずに◇
育児休業から復帰した後は、ご本人や部署の業務等についての様子を見ていくこととなりますが、手続きもお忘れなきよう、注視していってください。
また、育児休業から復帰した後の方が報酬が高く、育児休業終了時改定を行わないこと、3歳に達する日までの報酬が従前より高いことが確定している場合は、手続きを行う必要はございません。
ご本人ともその旨ご確認の上、進めていってください。
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