予定帝王切開の場合、産前休業の開始日はいつになるか?

産前休業は、「出産予定日」の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から、労働者本人が請求すれば取得することができます。

では、「帝王切開での手術予定日」「自然分娩での出産予定日」が異なる場合、産前休業の日数は、どちらの日から算出するのでしょうか?


労働基準法では、「使用者は、6週間(双子以上の場合は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合は、その者を就業させてはならない。また産後8週間以内の女性を就業させてはならない」と定められています(労基法第65条関係)。

そして産前・産後休業の日数算出方法に関しては、次のような通達が出されています。

・出産当日は、産前6週間に含まれる。(昭25.3.31 基収4057号)
・産前6週間の期間は自然の分娩予定日を基準として計算するものであり、産後8週間の期間は現実の出産日を基準として計算するものである。(昭26.4.2 婦発113号)

つまり労働基準法上の産前・産後休業とは、帝王切開での手術予定日ではなく「自然分娩での出産予定日以前6週間(42日間)から実際の出産日後8週間(56日間)まで」ということになります。

(例)帝王切開予定日4/6実際の出産日4/10、自然分娩予定日が4/20の場合

労働基準法上の産前休業は、自然分娩予定日の4/20を基準として算出するため、
本人が請求できる期間は
”3月10日(自然分娩での出産予定日以前6週間)〜4月20日(自然分娩予定日)”となります。

ただし、実際の出産日が4/10のため、実際の産前休業期間は
”3月10日(自然分娩での出産予定日以前6週間)〜4月10日(実際の出産日)”となります。


◇出産手当金の対象となる期間は?

出産手当金は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産の予定日)以前42日目(多胎妊娠の場合は98日目)から、出産の日の翌日以後56日目までの範囲内で会社を休んだ期間について支給されます。

ここでいう出産の予定日は、やはり自然分娩予定日となり、

上記(例)の場合は自然分娩予定日4/20よりも前の4/10に出産しているため、

実際の出産日(4/10)以前42日目(2月28日)~出産の日の翌日以後56日目(6月5日)
の間で実際に休んだ期間が出産手当金の対象となります。

帝王切開予定日の後に出産していますが、帝王切開予定日以前42日目(2月24日)から対象となるわけではないので、注意が必要です。


◇社会保険料免除の対象となる期間は?

一方、企業によっては就業規則にて帝王切開予定日を基準に産前休業を認めている場合もあります。

上記(例)の場合は会社が認める産前休業期間は
”2月24日(帝王切開予定日以前6週間)4月10日(実際の出産日)”となります。

原則は出産手当金と同様に労働基準法で定められている期間が社会保険料免除の対象期間になりますが、年金事務所によれば、会社が就業規則で帝王切開予定日を出産予定日として認めている場合には、帝王切開予定日以前42日目の属する月から社会保険料免除対象期間となります。
(※2023.4.28時点で確認できている情報に基づき掲載しております。)



このエントリーをはてなブックマークに追加  
この記事を書いた
Athrunとは?