どこからが通勤災害?一戸建て・オフィスビルなどでどう違う?

通勤災害とは、労働者が通勤により被った負傷、疾病、障害又は死亡を言います。

この場合の「通勤」とは、就業に関し、下記の移動を合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとされています。
 ◆住居と就業の場所との間の往復
 ◆就業の場所から他の就業の場所への移動
 ◆住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動
ただし、移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合には、逸脱又は中断の間及びその後の移動は「通勤」とはなりません。

さて、今回は、怪我をした場所のみにフォーカスし、「住居」と「就業の場所」の定義についてまとめていきたいと思います。
社労士試験の労働者災害補償保険法でも出題される、細かい部分ではありますが、早速見ていきましょう。


1⃣「住居」の範囲はどこまで?

東京労働局のホームページには、住居の定義について下記のように記載があります。

労働者が居住して日常生活の用に供している家屋等の場所で、本人の就業のための拠点となるところをいいます。
したがって、就業の必要上、労働者が家族の住む場所とは別に就業の場所の近くにアパートを借り、そこから通勤している場合には、そこが住居となります。
さらに、通常は家族のいる所から出勤するが、別のアパート借りていて、早出や長時間の残業の場合には当該アパートに泊り、そこから通勤するような場合には、家族の住居とアパートの双方が住居と認められます。

さて、この「労働者が居住して日常生活の用に供している家屋等の場所」ですが、一戸建てとアパート・マンションなどの集合住宅とで範囲が分かれます。

「住宅」の範囲はの範囲は下記のようになります。
 一戸建て:門構え、自身の敷地(駐車場等含む)まで
 集合住宅:自宅のドアまで(階段やエントランス等の共用部は範囲外)

場所に限ったことで言えば、この範囲から一歩でも外に出たところで怪我をしたら通勤災害になりうるということ、反対にこの範囲内で怪我をしたら私的な怪我になりうるということです。


2⃣「就業の場所」の範囲はどこまで?

東京労働局のホームページでの「就業の場所」の記載は下記のようになっています。

業務を開始し、又は終了する場所をいいます。
一般的には、会社や工場等の本来の業務を行う場所をいいますが、外勤業務に従事する労働者で、特定区域を担当し、区域内にある数か所の用務先を受け持って自宅との間を往復している場合には、自宅を出てから最初の用務先が業務開始の場所となり、最後の用務先が業務終了の場所となります。

さて、この「会社や工場等の本来の業務を行う場所」ですが、こちらも一戸建てとアパート・マンションなどの集合住宅とで範囲が分かれます。

「就業の場所」の範囲は下記のようになります。
 自社ビル:門構え、会社の敷地まで
 オフィスビル:自社オフィスのドアまで(共用部、敷地外に借りている駐車場は範囲外)

場所に限ったことで言えば、この範囲から外に出たところで怪我をしたら通勤災害になりうるということ、またこの範囲内で怪我をしたら業務災害になりうるということです。


今回は、怪我をした場所のみにフォーカスし、「住居」と「就業の場所」の定義をまとめてみました。

ただ、出勤前や退勤後の歩行中に「就業の場所」で怪我をしたら? また、在宅勤務の場合に「住居」で怪我をした場合は?…と、考え始めると複雑になってきます。

その際は怪我をした原因によっても判断が分かれるところですので、まずは管轄の労働基準監督署にご相談されたうえで、申請を進めていきましょう。

 

【参考】
東京労働局|通勤災害について
厚生労働省|労災保険給付の概要

 



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