定年時以降も可能!継続再雇用時の同日得喪手続きとは?

 

社会保険の「同日得喪(どうじつとくそう)」という言葉をお聞きになったことがある方はいらっしゃるかと思います。

実際にどのような手続きのことを言うのでしょうか。 また「得喪」とありますが、何回でもできるのでしょうか?

今回は、定年再雇用など、継続して再雇用となった際の「同日得喪」についてお話していきます。

 


1⃣同日得喪とそのメリットとは?

定年退職後の再雇用や契約更新で、60歳以上の方が1日も日を空けずに継続して再雇用され、給与額が減額となる場合に、社会保険料の改定を行うために実施する手続きのことを言います。

通常、雇用契約が変更となった際には、継続して在籍しているものとみなし、給与額の変更があった月を起算月とする随時改定(月額変更)で保険料の改定を行います。
しかし、60歳以上の方については、資格喪失届・資格取得届を同時に提出することで、給与が減額となった月から標準報酬月額を変更することができます。

なお、事業所での定年の定めの有無による相違はありませんので、60歳以後に退職した後、継続して再雇用された場合であれば、その都度対象となります。

※給与額が変わらない場合や、報酬が上がった場合は、早く標準報酬月額を変更する必要がないため、「同日得喪」手続きは不要です。

 


◆年金Q&A (その他(嘱託として再雇用された者の被保険者資格の取扱い))

Q)60歳以上の厚生年金の被保険者が退職し、継続して再雇用される場合、どのような手続きが必要ですか。

A)事業主が該当する方の厚生年金保険等の被保険者資格喪失届及び被保険者資格取得届を同時に年金事務所へ提出していただくことにより、再雇用された月から再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に決定することができます。

なお、その際に添付書類として、「就業規則や退職辞令の写し等の退職したことがわかる書類及び継続して再雇用されたことがわかる雇用契約書」または「事業主の証明」が必要になります。また、事業主の証明は、特に様式は指定しませんが、退職された日、再雇用された日が記載されているものが必要となります。


2⃣同日得喪手続きに必要な書類

同日得喪手続きでは、下記のものが必要です。
※ 健康保険組合や管轄年金事務所によって添付書類が異なる場合がございますので、各所へ予めご相談いただいた上でお手続きください。

●資格喪失届・資格取得届
●再雇用時の雇用契約書の写し
●扶養異動届・国民年金第3号関係届(扶養家族がいて、手続きが必要な場合)
 ※これがとても重要です。本人の喪失・取得の際には、家族も改めて扶養追加手続きが必要です。

●就業規則のうち定年退職についての記載があるページの写し
(定年再雇用によるケースで、求められた場合)
●再雇用前の雇用契約書の写し
(契約変更によるケースで、求められた場合)

 


3⃣同日得喪ができるのは定年退職のときだけ?

結論、同日得喪は、いわゆる定年再雇用の際だけでなく、「契約更新で給与が減額となった場合はその都度」行うことができます。

例えば、定年再雇用によって、令和3年7月1日に基本給が60万円から30万円となったとします。
このとき、2⃣でお伝えした書類から、資格喪失届・資格取得届、就業規則の写し、再雇用時の雇用契約書の写しを準備し、各所で同日得喪の手続きを行います。
定年後の再雇用が令和3年7月1日でしたら、令和3年の7月分の保険料より標準報酬月額が変更となります。

その後、再雇用1年後の令和4年7月1日からさらに雇用契約が変更となり、基本給が30万円から20万円となったとします。
ここで再度、資格喪失届・資格取得届、新たな雇用契約書の写しを準備し、再度各所で同日得喪の手続きを行います。
このとき、令和4年の7月分の保険料より標準報酬月額が変更となります。

 


4⃣同日得喪を行うデメリット

標準報酬月額をすぐに変更することができるということで、給与から控除する社会保険料が下がり、メリットしかないように感じますが、デメリットもあります。

●健康保険については、病気やケガで休んでいる間に、生活保障として「傷病手当金」を請求することができますが、標準報酬月額が低くなりますとその金額も下がります

●年金については、保険料が下がることから、将来受給する年金額も想定より下がる可能性があります。(これまでの加入歴にもよります。)

任意の手続きですので、手続きするかどうかは慎重に検討しましょう。

 



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