厚生労働省から、「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について(令和3年4月30日保保発0430第2号・保国発0430第1号)」が公表されています。
今後の認定の基準について、内容を見ていきたいと思います。
この中には、『令和元年に成立した医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律(令和元年法律第9号)に対する附帯決議として、
「年収がほぼ同じ夫婦の子について、保険者間でいずれの被扶養者とするかを調整する間、その子が無保険状態となって償還払いを強いられることのないよう、被扶養認定の具体的かつ明確な基準を策定すること」
が付されたところである。』という記載がございます。
お子さんが夫婦どちらの扶養となるか、双方の保険者が調整するのに時間を要し、その間に保険証を持たない期間が発生することがゼロではなかったということですね。(実際に、クライアントさまの扶養異動手続きを行う中で、そのような事例を見たことがあります)
では、実際に確認していきましょう。
1⃣夫婦とも雇用先の健康保険に加入している場合
①被扶養者数にかかわらず、被保険者の年間収入が多い方の被扶養者とする。
※年間収入=過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだもの
②年間収入の差額が、多い方の1割以内である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。
③夫婦の双方又は一方が共済組合の組合員であり、その者に扶養手当の支給が認定されている場合には、その認定を受けている者の被扶養者としてよい。(=共済組合に加入していて、扶養手当の支給を受けている方の扶養としてよい)
なお、扶養手当等の支給が認定されていないことのみを理由に被扶養者として認定しないことはできない。(=扶養手当を受けていなくとも、年間収入が多ければそちらの扶養となる)
④被扶養者として認定しない保険者等は、当該決定に係る通知を発出、被保険者はこの通知を添えて次の保険者等に届出を行う。
通知書に記載が望まれる事項:不認定理由、加入者の標準報酬月額、届出日及び決定日等
⑤上記④の届出を受けた保険者等は届出を審査し、その内容に疑義があれば、届出を受理した日より5日以内に、不認定に係る通知を発出した他保険者等と、どちらの被扶養者とすべきか年間収入の算出根拠を明らかにした上で協議する。
この協議が整わない場合には、初めに届出を受理した保険者等に届出が提出された日の属する月の標準報酬月額が高い方の被扶養者とする。
標準報酬月額が同額の場合は、被保険者の届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。(標準報酬月額に遡及訂正があってこの決定が覆る場合は、決定が改められる)
⑥夫婦の年間収入比較に係る添付書類は、保険者判断としてよい。
2⃣夫婦の一方が国民健康保険に加入している場合
①雇用先の健康保険の被保険者は年間収入を、国民健康保険の被保険者は直近の年間所得で見込んだ年間収入を比較し、いずれか多い方を主として生計を維持する者とする。(=年間収入多い方の扶養となる)
②被扶養者として認定しない保険者等は、当該決定に係る通知を発出、被保険者はこの通知を添えて国民健康保険の保険者に提出する。
通知書に記載が望まれる事項:不認定理由、届出日及び決定日等
③認定されないことにつき国民健康保険の保険者に疑義がある場合には、届出を受理した日より5日以内に、不認定に係る通知を発出した被用者保険の保険者等と協議して決定する。
この協議が整わない場合には、直近の課税(非課税)証明書の所得金額が多い方を主として生計を維持する者とする。
3⃣主として生計を維持する者が育児休業等を取得した場合、当該休業期間中は、被扶養者の地位安定の観点から特例的に被扶養者を異動しないこととする。
ただし、新たに誕生した子については、改めて上記1又は2の認定手続きを行うこととする。
4⃣年間収入の逆転に伴い被扶養者認定を削除する場合は、年間収入が多くなった被保険者の方の保険者等が認定することを確認してから削除する。
5⃣被扶養者の認定後、その結果に異議があれば、被保険者又は関係保険者の申立てにより、被保険者の勤務する事業所の所在地の地方厚生局・ 地方厚生支局の保険主管課長が関係保険者の意見を聞き、斡旋を行うものとする。
各被保険者の勤務する事業所の所在地が異なる場合には、申立てを受けた保険課長が斡旋を行い、その後、相手方の保険課長に連絡する。
こちらの適用は令和3年8月1日からとなっています。
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