厚生労働大臣は昨年12月22日に、労働政策審議会に対して「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」について諮問を行いました。
事業主が支払う労災保険料算出に用いる労災保険率の改定などを主な内容とするものです。
12月26日、同審議会からいずれも妥当であるとの答申があったことから、同省は令和6年4月1日の施行に向け、速やかに省令の改正作業を進めるとしています。
◆労災保険率とは?
労災保険率とは、労災保険料の計算に用いられる料率のことです。
労災保険率は全部で54の業種に分けて異なる数字が定められており、それぞれの業種の過去3年間の災害発生状況などを考慮し、原則3年ごとに改定されています。
建設事業などの危険な業種ほど高く、労災事故が起こりにくい業種ほど低く設定されています。
改定①労災保険率を業種平均で0.1/1000引下げ
労災保険率の業種平均は現在4.5/1000ですが、業種平均で0.1/1000引き下げられ、4.4/1000となる予定です。
・引下げられる業種:
「林業、定置網漁業又は海面魚類養殖業」「採石業」「めつき業」「金属材料品製造業」などの17業種
・引上げられる業種:
「パルプ又は紙製造業」「電気機械器具製造業」「ビルメンテナンス業」の3業種
・変化なしの業種:
他の34業種
改定②一人親方などの特別加入に係る第2種特別加入保険料率
全25区分中、5区分で引下げとなる予定です。
・引下げられる業種:
「個人タクシー、個人貨物運送業者、原動機付自転車又は自転車を使用して行う貨物の運送の事業」
「建設業の一人親方」
「医薬品の配置販売業者」
「金属等の加工、洋食器加工作業」
「履物等の加工の作業」の5区分
・引上げられる業種:
なし
改定③請負による建設の事業に係る労務費率(請負金額に対する賃金総額の割合)
「鉄道又は軌道新設事業」「その他の建設事業」の労務費率が引き下げられる予定です。
【参考URL】
厚生労働省|労災保険料算出に用いる労災保険率の改定等を行います
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