入院が決まったとき、体のことだけではなく、費用のことももちろん不安ですよね。
費用の心配をできるだけ少なくしたい、そんなときに使える制度があります。
それが高額療養費制度と限度額適用認定証です。
今回は、それぞれの制度の違いについておおまかにまとめてみました。
〇高額療養費制度
高額療養費制度とは、病院等に長期入院したり治療が長引いたりして医療費の自己負担額が高額となったときに、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻されるものです。
急な入院で高額な医療費を支払ったとしても、後から返還されるシステムになっています。
返還は、医療機関等から提出される診療報酬明細書(レセプト)の審査を経て行われるため、診療月から3ヵ月以上はかかります。
自己負担限度額は、70歳未満の方・70歳以上の方・70歳未満の方と70歳以上75歳未満の方が同じ世帯にいる場合とで変わってきます。
また、自己負担額は世帯で合算できる仕組みになっています。
世帯で複数の方が同じ月に医療機関で受診した場合や、お一人が複数の医療機関で受診した場合、一つの医療機関で入院と外来で受診した場合など、合算した額が自己負担限度額を超えた場合に、超えた額が返還されます。
〇限度額適用認定証
高額療養費制度では、医療機関より請求された医療費の全額を支払ったうえで申請することにより、自己負担限度額を超えた金額が払い戻しされます。
しかし、一時的にせよ多額の費用を立て替えることになるため、経済的に大きな負担となります。
そこで、「限度額適用認定証」を先に発行しておき、医療機関の窓口に提示することで、医療機関ごとのひと月の支払額が自己負担限度額までとなります。
予め自己負担限度額が決まっているため、支払う金額が最小限で済みます。
〇何が違う?どちらを使う方がいい?
高額療養費制度を利用した場合も、限度額適用認定証を提示した場合も、最終的に支払う金額は同じになります。先に支払って返還を受けるか、予め上限額を支払うかの違いです。そのため、どちらかが得をするということはございません。
尚、二つの制度は、保険適用される診療に対し、患者が支払った自己負担額が対象となります。
医療にかからない場合でも必要となる「食費」・「居住費」や、患者の希望によってサービスを受ける「差額ベッド代」・「先進医療にかかる費用」等は、基本的には対象とはなりません。
そのため、限度額適用認定証が間に合うのであれば、お財布から出ていく金額が最小限で済みますので、できるだけ限度額適用認定証をお使いいただいた方が良いのではないでしょうか。
※自己負担限度額については、健康保険組合や協会けんぽのホームページにてご確認ください。
〇限度額認定証の発行が間に合わないときはどうすればいい?(番外編)
急な入院で、限度額認定証の発行が間に合わないけれど、先に高額な医療費を支払うのは辛い…という場合もあるかと存じます。その際は、オンライン資格確認の仕組みが利用できる場合もありますので、医療機関にご相談ください。
マイナンバーカードの健康保険証として利用するための申込をしている場合、マイナンバーカード又は健康保険証のみを提示し、ご本人の情報提供に同意することで、「限度額適用認定証」等を提示しなくても制度を利用できる仕組みができました。
墨田区|マイナンバーカードなどの限度額適用認定証としての利用について
大阪市|「マイナ受付」ができる医療機関等では限度額適用認定証等の提示が不要です!
「マイナ受付」という言葉もあるようで、厚生労働省からマイナ受付が可能な医療機関が公表されていました。
導入していない医療機関もございますので、お住まいの地域の病院がこの中にあるかを予め見ておくとよいかもしれませんね。
【参考】
協会けんぽ|医療費が高額になりそうなとき(限度額適用認定)
協会けんぽ|高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)
この記事を書いた