シフト制について(労働者向け)

前回、シフト制について(会社担当者向け)について、記載いたしましたが、今回は、労働者向けについて記載をしたいと思います。

前回の記事 シフト制について(会社担当者向け)


1⃣応募をする時の留意点
会社は、労働者を募集する時、業務内容・賃金・労働時間等の労働条件を、労働者に対して明示しなければなりません。(職業安定法第5条の3第1項、第2項)
また、募集時に示された労働条件が、労働契約を結ぶまでに変更される場合も、変更内容の明示が必要です。(職業安定法第5条の3第3項)
募集内容等をよく見て、労働条件をきちんと確認するようにしましょう。


2⃣採用が決まり労働契約を結ぶ時の留意点
◇労働条件の明示 ◇
会社は、労働契約を結ぶ時に、労働者に対して以下の労働条件を必ず書面で明示しなければなりません。(労基法第15条第1項、労基則第5条)
シフト制で働きはじめる時は、自分の労働条件を再度確認するにしましょう。
※労働者が希望すれば、メールなどで送ってもらうことも可能です。
①契約期間
②期間の定めがある契約を更新する場合の基準
③就業場所、従事する業務
④始業・終業時刻、休憩、休日など
⑤賃金の決定方法、支払い時期など
⑥退職(解雇の事由を含む)

◇シフト制労働契約で定めることが考えられる事項◇
会社と話し合って、シフトに関する次のようなルールをあらかじめ合意しておくことが考えられますので、必要な場合は会社と相談してみましょう。
・シフト作成時に、事前に労働者の希望を聴くこと
・会社が労働者に、決定したシフトを通知する際の期限、通知の方法
・一旦確定したシフトの労働日や労働時間を、キャンセルしたり変更する場合の期限や手続
※一旦確定した労働日や労働時間等の変更は、基本的に労働条件の変更に該当し、使用者と労働者双方の合意が必要である点にご留意ください。
・一定期間中の、目安となる労働日数・労働時間数など
① 最大の労働日数や時間数(例:毎週月、水、金曜日から勤務する日をシフトで指定する)
② 目安の労働日数や時間数(例:1か月○日程度勤務/1週間当たり平均○時間勤務)
③ ①②に併せて、最低限の労働日数や時間数


3⃣実際に働くときの主な留意点
◇労働時間、休憩 ◇
労働時間の上限は原則1日8時間、1週40時間です。この上限を超えて働いた場合は、原則として時間外労働となります(変形労働時間制などの場合はこの限りではありません)。
会社は、労働者の1日の労働時間が6時間を超える場合は合計45分以上、8時間を超える場合は合計1時間以上の休憩を勤務の途中で与えなければなりません。
(労基法第34条第1項)

◇年次有給休暇◇
所定労働日数、労働時間数に応じて年次有給休暇を取得することができます。(労基法第39条第3項、
労基則第24条の3)
会社は、原則として労働者の請求する時季に年次有給休暇を取得させなければなりません。(労基法第39条第5項)

◇休業手当◇
会社の責に帰すべき事由により、労働者を休業させた場合、会社は、平均賃金の60%以上の休業手当を労働者に支払う必要があります。(労基法第26条)
※会社の故意、過失等による休業の場合、会社は、賃金全額の支払いが必要になります。(民法第536条第2項)

◇安全、健康確保◇
会社は必要に応じて、シフト制労働者に対しても、労働安全衛生法に基づく安全衛生教育(安衛法第59条)や健康診断(安衛法第66条)などを行わなければなりません。

◇労働契約の終了◇
・期間の定めがある労働契約(有期労働契約)の場合、会社はやむを得ない事由がなければ、契約期間の途中で労働者を解雇できません。また、期間の定めがない場合でも、客観的に合理的な理由等がなければ解雇できません。(労契法第17条第1項、第16条)
・有期労働契約の契約期間が満了した際、一定の要件を満たすと、会社は、労働者からの契約更新の申込みを拒否できない場合があります。(労契法第19条) 

◇社会保険・労働保険◇
シフト制で働く場合でも、労災保険の給付の対象となります。また、労働時間などの要件を満たせば、雇用保険や健康保険・厚生年金の被保険者となります。

【参考】
厚生労働省|いわゆる「シフト制」について
厚生労働省|「シフト制」で働くにあたって知っておきたい留意事項 (労働者の方向けリーフレット)



このエントリーをはてなブックマークに追加  
この記事を書いた
Athrunとは?