【令和3年版】過労死等防止対策白書が公表されました。


令和3年10月26日に過労死等防止対策推進法に基づき、「令和2年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」(令和3年版 過労死等防止対策白書)を閣議決定されました。
「過労死等防止対策白書」とは、過労死等防止対策推進法の第6条に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書となります。

白書の内容について、少しだけご紹介させていただきたいと思います。


0⃣「過労死等」とは?
(1)業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
(2)業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
(3)死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害
こちらに該当するものを指しています。


1⃣「令和3年版 過労死等防止対策白書」の主なポイントとは?
・本年7月30日に閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下「大綱」という。)の変更経緯やその内容について
・大綱において定める重点業種等のうち、自動車運転従事者、外食産業に関する労災認定事案の分析など、企業における過労死等防止対策の推進に参考となる調査研究結果(新型コロナウイルス感染症の影響を含む)の報告
・長時間労働の削減やメンタルヘルス対策、国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、昨年度の取組を中心とした労働行政機関などの施策の状況について詳細の報告
・企業でのメンタルヘルス対策や勤務間インターバル制度の導入など、過労死等防止対策のための取組事例をコラムとして紹介

白書では、労働時間やメンタルヘルス対策等の状況、過労死等の現状、過労死等の防止のための対策に関する大綱の変更、過労死等をめぐる調査・分析結果、過労死等の防止のための対策の実施状況のカテゴリーで作成がされています。


2⃣労働時間やメンタルヘルス対策等の状況
ここでは、総実労働時間について、触れさせていただきたいと思います。

【労働時間等の状況】
・労働者1人当たりの年間総実労働時間は緩やかに減少していて、令和2(2020)年じゃ前年比48時間の減少となっており、8年連続で減少しています。総実労働時間を所定内労働時間、所定外労働時間で分けてみてみると、所定内労働時間は長期的に減少傾向が続いており、所定外労働時間は、平成22(2010)年以降、120時間から132時間の範囲で増減を繰り返していたが、令和2(2020)年は110時間と前年比17時間の減少なりました。
・一般労働者とパートタイム労働者で分けてみてみると、一般労働者の総実労働時間は平成21(2009)年以降10年ぶりに2,000時間を下回った令和元(2019)年からさらに減少し、1,925時間となり、パートタイム労働者の総実労働時間も減少傾向が顕著となり953時間となりました。また、パートタイム労働者の割合は、近年、増加傾向にあることから、近年の労働者1人当たりの年間総実労働時間の減少は、パートタイム労働者の割合の増加の影響が大きいものと考えられています。


3⃣過労死等の現状
白書では、労災の認定基準について紹介をしつつ、業務上疾病として認められて部分での労災補償の状況についてまとめられています。

【脳・心臓疾患の労災補償状況】
業務における過重な負荷により脳血管疾患又は虚血性心疾患等を発送したとする労災請求件数は、平成14(2002)年度に800件を超えて以降、700件台から900件台前半の間で推移しており、令和2(2020)年は784件で、前年度比152件の減少となっています。
労災支給決定件数は、平成14(2002)年度に300件を超えて、平成19(2007)年度に392件にまで増加していたが、近年は200件台で推移しており、令和2(2020)年度は194件で、前年度比22件の減少となりました。

【精神障害の労災補償状況】
業務における強い心理的負荷による精神障害を発病したとする労災請求件数は、長期的にみると増加傾向にあるが、令和2(2020)年度は2,051件で、前年度比9件の減少となっています。労災支給決定件数は平成24(2012)年度以降500件前後で推移していたが、令和2年度は608件で、前年度比99件の増加となっています。
なお、令和2年度について、新型コロナウイルス感染症に関連する精神障害の労災支給決定件数は7件ありました。


◇認定基準について◇
【労働者についての労災認定基準】
・脳血管疾患・心疾患について・・・平成13年12月12日付 基発第1063号「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」
・精神障害について・・・平成23年12月26日付 基発1226第1号「心理的負荷による精神障害の認定基準について」
【国家公務員について公務労災認定基準】
・脳血管疾患・心疾患について・・・平成13年12月12日付 勤補-323「心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定について」
・精神障害について・・・平成20年4月1日付 職補-114「精神疾患等の公務上の認定について」など

また、当社では9月14付けの生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛てに通知されている「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」について
脳・心臓疾患の労災認定基準の改正ポイントでまとめております。


(参考)
厚生労働省|「令和3年版 過労死等防止対策白書」を公表します
厚生労働省|過労死等防止対策白書



このエントリーをはてなブックマークに追加  
この記事を書いた
Athrunとは?