令和2年3月31日に成立した「雇用保険法等の一部を改正する法律」の中で、高年齢雇用継続給付の縮小と高年齢労働者に対する処遇改善のための助成金を創設することが決まりました。今回は、その概要についてお知らせします。
1⃣高年齢雇用継続給付の縮小
<改正の趣旨>
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号)による高年齢者雇用確保措置の進展等を踏まえ、高年齢雇用継続給付の給付率を見直す。
<改正前の内容>
被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の労働者であって、60歳以後の各月に支払われる賃金が原則として60歳時点の賃金額の75%未満となった状態で雇用を継続する高年齢者に対し、 65歳に達するまでの期間について、60歳以後の各月の賃金の15%を支給。
※賃金と給付の合計額が60歳時点の賃金の70.15%を超え75%未満の場合は逓減した率
<改正の内容>(令和7年4月1日施行)
令和7年度から新たに60歳となる労働者への同給付の給付率を10%に縮小
※ 賃金と給付の合計額が60歳時点の賃金の70.4%を超え75%未満の場合は逓減した率
※ 令和7年3月31日までに60歳になっている方(誕生日が昭和40年4月2日以前の方)は、従前どおりの給付率
※ 見直しに当たり、高年齢労働者の処遇の改善に向けて先行して取り組む事業主に対する支援策とともに、同給付の給付率の縮小後の激変緩和措置についても併せて講ずる
2⃣高年齢労働者処遇改善促進助成金(仮称)の創設
<概要>
雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保を推進する等の観点から、60歳から64歳までの高年齢労働者の処遇の改善に向けて取り組む事業主に対し支援を行う。
<支給対象事業主>
雇用保険適用事業所であって、以下の要件をいずれも満たす事業主
・ 60歳から64歳までの高年齢労働者の賃金規定等を改定し、6か月以上適用していること。
・ 当該事業所に雇用される労働者に係る高年齢雇用継続基本給付金の受給額が一定割合(賃金規定等改定前後を比較して95%)以上減少していること。
<助成内容等>
当該事業所に雇用される労働者(申請対象期間の初日において雇用されている者に限る。)に係る、賃金規定等改定前後を比較した高年齢雇用継続基本給付金の減少額に、以下の助成率を乗じた額を助成
・ 大企業:2/3 中小企業:4/5
※ 助成率は令和4年度までの率。令和5・6年度は、大企業:1/2、中小企業:2/3とする予定。
※ 1回の申請の対象期間は6か月とし、最大4回(2年間)まで申請可能。2回目以降も、初回の申請時に適用された助成率を適用。
(参考)雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号)の概要
(参考)高年齢雇用継続給付の見直し
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