令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和7年9月24日時点)

令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&Aについて、新たに追加されたものをご紹介します。(令和7年9月24日時点)


<<Question>>

パートタイム労働者等の労働契約上1日の所定労働時間が6時間以下とされている者(以下「パートタイム労働者等」という。)について、
①短時間勤務制度(1日の所定労働時間を少なくとも6時間に短縮できるもの)と
②それ以外の4つの選択肢のいずれかの措置とで合わせて2つの措置を事業主が講じ、
かつ、当該パートタイム労働者等が②の措置を選択した場合、労働契約上の1日の所定労働時間(6時間以下)を変更しないまま、②の措置を利用できることになるのでしょうか。

<<Answer>>

パートタイム労働者等は、労働契約上の1日の所定労働時間(6時間以下)を変更しないまま、②の措置を利用できることとなります。
事業主が、「柔軟な働き方を実現するための措置」として、
①短時間勤務制度(1日の所定労働時間を少なくとも6時間に短縮できるもの)と
②それ以外の4つの選択肢のいずれかの措置とで合わせて2つの措置を講じた場合、
パートタイム労働者等についても、①短時間勤務制度と②の措置のいずれを利用するかを選択する権利を有することになります。
その際、②の措置のうち「始業時刻等の変更」「テレワーク等」「養育両立支援休暇」については、労働契約上の1日の所定労働時間を変更することなく利用できるものである必要があるため、当該パートタイム労働者等は、労働契約上の1日の所定労働時間(6時間以下)を変更することなく、②の措置を利用することができます。
「保育施設の設置運営等」については、措置の適用前後で所定労働時間を変更することなく利用できることを求める法令上の規定はありませんが、労働者の職種や業務内容等から利用できないことがあらかじめ想定できるものを措置することは、事業主が措置義務を果たしたとは認められないことに留意が必要です。
なお、柔軟な働き方を実現するための措置を利用する前の時点において、子が3歳未満の労働者を対象とする育児・介護休業法第 23 条に基づく措置として既に短時間勤務制度を利用している場合には、柔軟な働き方を実現するための措置の選択に際して、短時間勤務制度の利用を継続するか、短時間勤務制度の利用をやめて、②の措置を利用するかを選択することとなります。

 

<<Question>>

3歳以上小学校就学前までの子を養育する労働者に対して「柔軟な働き方を実現するための措置」として2つの措置を講じている事業主は、当該労働者が、講じた 2 つの措置の一方の措置を一定期間利用し、当該期間の経過後は他方の措置を利用したい旨申し出た場合、これを認めなればいけませんか。

<<Answer>>

3歳以上小学校就学前までの子を養育する労働者は、事業主が講じた2つ以上の措置のうちいずれを利用するかを選択することができるところ、当該措置の利用開始後、当該労働者からの申出による変更を認めることは法律上特に義務付けられているものではないものの、他方で、措置の利用開始後に労働者の家庭や仕事の状況が変化する場合もあることから、当該労働者が選択した措置が当該労働者にとって適切であるかを確認すること等を目的として、定期的に面談等を実施することが望ましいとされています。
これを踏まえ、当該措置の利用開始後においても、定期的に労働者の家庭や仕事の状況を把握し、利用している措置が就業しつつ子を養育することを実質的に容易にする内容になっていない場合には、利用する措置の変更を含め柔軟に対応することが望ましいです。

 

<<Question>>

「柔軟な働き方を実現するための措置」は、労働基準法第 41 条第2号に定める管理監督者についても講じる必要がありますか。

<<Answer>>

管理監督者も「柔軟な働き方を実現するための措置」の対象となります。
そのため、事業主は、管理監督者についても他の労働者と同様に、「始業時刻等の変更」・「在宅勤務等の措置」・「養育両立支援休暇」・「保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与」・「所定労働時間の短縮」のうちいずれか2以上の措置を講じ、3歳以降小学校就学前の子を養育する期間において、これらの措置の利用を可能とする必要があります。
なお、管理監督者については、始業・終業時刻等について広範な裁量が認められていることにより、労働基準法の労働時間等に関する規定が適用除外されていますが、管理監督者であることをもって「所定労働時間の短縮」や「始業時刻等の変更」の措置を講じたことにはならず、事業主はこれらの措置を含む5つの選択肢の中から、2つ以上を選択して措置する義務がある点に留意してください。
また、労働基準法第 41 条第2号に定める管理監督者については、同法の解釈として、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであるとされています。このため、職場で「管理職」として取り扱われている者であっても、同号の管理監督者に当たらず、かつ、事業主が講じた「所定労働時間の短縮」の措置の利用を当該「管理職」が申し出る場合には、所定労働時間の短縮措置を講じなければなりません。

 

<<Question>>

事業主が他の事業者が運営する企業主導型保育施設の共同利用契約を結ぶことは、「保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与」として認められますか。

<<Answer>>

事業主が他の事業者が運営する企業主導型保育施設の共同利用契約を結ぶことは、「その他これに準ずる便宜の供与」の措置を講じたものとして認められる場合があります。
例えば、事業主が他の事業者が運営する企業主導型保育施設と共同利用契約を結び、一定の従業員枠を確保した上で(手配)、労働者の保育料の一部または全部を負担する等の措置(費用負担)を行った場合、事業主の「手配」と「費用負担」を満たすため、「その他これに準ずる便宜の供与」の措置を講じたものとして認められます。
他方、次のような場合は「その他これに準ずる便宜の供与」には該当しませんので、ご留意ください。
・ 事業主が企業主導型保育施設と共同利用契約をあらかじめ結んでおらず、労働者が自ら保育サービス利用に係る手続を行わなければならない場合(「手配」の要件を満たさないため)。
・ 共同利用契約上、事業主の費用負担が発生せず、労働者が支払う利用料も通常から減額されない場合等(「費用負担」の要件を満たさないため)。

 

<<Question>>

保育施設を運営する事業主が、自社の労働者からの申出に基づきその子を当該保育施設に入園させた場合や、自社の労働者について従業員枠(上限あり)を設けることとした場合、「保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与」として認められますか。

<<Answer>>

事業主が設置運営する保育施設にその雇用する労働者の子を入園させる際、当該労働者以外の者の子と同様、自治体への利用申込と利用調整を経た上で入園させるような場合には、当該労働者について事業主が「保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与」を講じたものとは認められません。
他方、例えば、自社の労働者について、事業主が自ら設置運営する保育施設の従業員枠を活用し、自治体への利用申込と利用調整を経ることなく入園できることとした場合は、「保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与」を講じたものとして認められます。
なお、自社の労働者について従業員枠を設けるに当たっては、当該従業員枠が当該保育施設の利用を希望する労働者の数と比較して著しく少なく、利用できる労働者がほとんどいない場合には、「保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与」の措置が講じられているとは言えないことにもご留意ください。


【参考URL】
厚生労働省|令和6年改正育児・介護休業法に関する Q&A (令和7年9月 24 日時点)



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