
厚生労働省より、社会保障協定が新たに発効されることが公表されました。
24番目の社会保障協定の協定となります。
9月10日(現地時間同日)、「社会保障に関する日本国とオーストリア共和国との間の協定(日・オーストリア社会保障協定)」(令和6年1月19日署名)の効力発生のための外交上の公文の交換がオーストリア共和国の首都ウィーンで行われました。これにより、この協定は12月1日に効力を生ずることとなります。
現在、日・オーストリア両国の企業等からそれぞれ相手国に一時的に派遣される被用者等(企業駐在員等)には、日・オーストリア両国で年金制度等への加入が義務付けられているため、年金保険料の二重払い等が生じています。
この協定は、このような問題を解決することを目的としており、この協定の規定により、派遣期間が5年以内の見込みの一時派遣被用者等は、原則として、派遣元国の年金制度等にのみ加入することとなります。
また、両国での保険期間を通算して、それぞれの国における年金の受給権を確立できることとなります。
この協定が発効することにより、企業及び駐在員等の負担が軽減され、日・オーストリア両国間の人的交流や経済交流が一層促進されることが期待されます。
<社会保障協定とは?社会保障協定を締結する背景・目的>
国際的な交流が活発化する中、企業から派遣されて海外で働くことや、将来を海外で生活される方が年々増加しています。
海外で働く場合は、働いている国の社会保障制度に加入をする必要がありますが、日本から海外に派遣された企業駐在員等については、日本の社会保障制度との保険料と二重に負担しなければならない場合が生じています。
また、日本や海外の年金を受け取るためには、一定の期間その国の年金に加入しなければならない場合があるため、その国で負担した年金保険料が年金受給につながらないことがあります。
社会保障協定は、以上を踏まえ、以下2点を目的として締結しています。
- 「保険料の二重負担」を防止するために加入するべき制度を二国間で調整する(二重加入の防止)
- 年金受給資格を確保するために、両国の年金制度への加入期間を通算することにより、年金受給のために必要とされる加入期間の要件を満たしやすくする(年金加入期間の通算)
日本が社会保障協定を締結(発効済)している国(23カ国):
ドイツ、英国、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国、フィンランド、スウェーデン、イタリア
※英国、韓国、イタリアおよび中国との協定については、「保険料の二重負担防止」のみ
国外での就労について、社会保障協定を含む人事での確認が必要な手続きについては、下記にもまとめております。ご参考になさってください。
あすらん|(初めての人事労務)日本国外・国内へ出入国する場合【社会保険編】_Part1
あすらん|(初めての人事労務)日本国外・国内へ出入国する場合【社会保険編】_Part2
【参考URL】
厚生労働省|日・オーストリア社会保障協定の発効(事前周知)
日本年金機構|社会保障協定
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