
厚生労働省から、遺族厚生年金の見直しの概要が公表されました。
ポイント①男女差の解消
◆現在の仕組みは、
女性:30歳未満で死別→5年間の有期給付
30歳以上で死別→無期給付
男性:55歳未満で死別→給付なし
55歳以上で死別→60歳から無期給付
◆変更後は、男女ともに
60歳未満で死別:原則5年間の有期給付
(配慮が必要な場合は5年目以降も給付を継続)
有期給付の収入要件(年収850万円未満)を廃止・年金額の増額(有期給付加算、死亡分割)
60歳以上で死別:無期給付(現行どおり)
※いずれも、こどものいない場合(※こどもとは、18歳になった年度末までまたは障害の状態にある場合は20歳未満の方をいいます)
◆現在と変更のない方
•60歳以上で死別された方
•こども(※)がいる方
•改正前から遺族厚生年金を受け取っていた方
•2028年度に40歳以上になる女性

ポイント②こどもがいる場合の遺族基礎年金の加算額の引き上げ
◆現在の加算額
こども(※)2人目まで:1人につき現在の加算額年額234,800円
こども(※)3人目以降:1人につき年額78,300円
◆改正後の加算額
こども(※)1人につき年額281,700円へ
ポイント③見直しの対象者
◇法案では、遺族厚生年金の見直しは2028年4月施行予定です。
◇女性の場合、施行直後に原則5年間の有期給付の対象となるのは、18歳年度末までのこどもがいない、2028年度末時点で40歳未満の方です。
新たに対象となる30代の女性は推計で年間約250人です。(20代の方は既に5年間の有期給付となっています。)
◇一方男性の場合、新たに5年間の有期給付を受けられるようになるのは、18歳年度末までのこどもがいない60歳未満の方です。対象者は推計で約1万6千人です。
ポイント④見直しの影響を受けない方
以下 1)~4)に該当する方は、今回の見直しによって受ける影響はありません。
1)既に遺族厚生年金を受給している方
2)60歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生する方
3)18歳年度末までのこどもがいる方
4)2028年度に40歳以上になる女性
ポイント⑤見直し後の5年間の有期給付と継続給付について
◇有期給付の額は新たに加算(有期給付加算)が上乗せされ、現在の遺族厚生年金の額の約1.3倍となります。
◇5年間の有期給付の終了後も、
障害状態にある方(障害年金受給権者)や、収入が十分でない方は、引き続き増額された遺族厚生年金を受給することができます(継続給付)。
単身の場合は、就労収入が月額約10万円(年間122万円)以下の方は、継続給付が全額支給されます。収入が増加するにつれて収入と年金の合計額が緩やかに増加するよう年金額が調整されるしくみとなります。遺族厚生年金の年金額にもよりますが、概ね月額20~30万円を超えると、継続給付は全額支給停止します。
【参考URL】
厚生労働省|遺族厚生年金の見直しについて
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