2025年4月1日より前から時短勤務をしている場合、育児時短就業給付金は支給される?

<<Question>>

2024年10月に育児休業から復帰し、そのまま時短勤務をしている社員がいます。
今回2025年4月から創設された「育児時短就業給付金」についいて、2025年4月1日より前から時短勤務をしている雇用保険の被保険者も支給対象となるということですが、実際に受給することは可能でしょうか。

 


<<Answer>>

2025年4月1日以前から時短勤務をしている場合も支給対象とはなりますが、ご質問のケースのように、2025年4月1日の180日以上前から時短勤務をしていて、現在もその状況に変わりがない場合は、受給は難しいと考えた方がよろしいかと存じます。
ただ、時短勤務開始の時期や勤務状況によっては支給される可能性もございますので、申請については実施していただくことをお勧めいたします。

 

◇2025年4月1日の180日以上前から時短勤務をしている場合

育児時短就業給付金は、ざっくり簡単に考えますと、支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額を下回った場合、その差額が支給されるというシステムとなっています。

この育児時短就業開始時賃金月額は、基本的には育児時短就業開始前直近6ヶ月間(※1)に支払われた賃金(※2)を元に計算されますが、2025年4月1日より前から時短勤務をしている方は、2025年3月31日以前の直近6ヶ月の給与額を元に計算されます。
すなわち、給与が月末締めの場合は、2024年10月~2025年3月の給与額を元に計算されます。

※1 賃金支払基礎日数が11日未満の賃金月は除く。
   また、当該休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上の賃金月が6か月に満たない場合は、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上である賃金月。

※2 臨時の賃金、3か月超の期間ごとに支払われる賃金を除く。

既に時短勤務をしている期間の給与額と、2025年4月1日以降の給与額を比較して支給額が決定されることになります。
そのため、時短勤務開始から給与額がほぼ変わっていない場合、支給対象月に支払われた賃金額が育児時短就業開始時賃金月額を下回らず、差額が発生しない可能性がございます。

 

 

◇2025年4月1日の180日前の日よりは後から時短勤務をしている場合

なお、例えばですが、2024年3月1日から産前産後休業、その後引き続き育児休業を取得され、2025年1月1日に復職したタイミングから時短勤務を開始した場合(2025年4月1日の180日前の日よりも後から時短勤務をしている場合)を考えてみます。

2025年4月1日の前直近6ヶ月間の賃金を確認した際に、2023年12月~2024年2月、2025年1月~2025年3月の給与が支給されている場合、この6ヶ月の給与額を元に育児時短就業開始時賃金月額が計算されます。(※3)

※3 育児時短就業開始日前2年の間に、疾病、負傷、出産、育児等やむを得ない理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった期間がある場合は、当該理由により賃金の支払いを受けることができなかった期間を2年に加算することができます(合計で最長4年間)

その場合、6ヶ月のうち、3ヶ月は時短勤務をしていない期間の給与額、残り3ヶ月は時短勤務をしている期間の給与額が計算の元になりますので、支給対象月に支払われた賃金額が育児時短就業開始時賃金月額を下回った場合には、差額が発生し受給に至る可能性がある、ということになります。

 

 

まずは該当の方について、育児時短就業開始前直近6ヶ月間に支払われた賃金と、時短勤務開始後の給与額をご確認いただき、申請を試みていただければと思います。

 


上記の回答は、下記の支給要件を満たしていることを前提としております。

1⃣受給資格

①2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業する被保険者であること。

「被保険者」とは、雇用保険の一般被保険者と高年齢被保険者をいいます。

② 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、同一の子について育児時短就業を開始したこと、または、育児時短就業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月あること。
 (ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある)

「育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き育児時短就業を開始したこと」とは、育児休業終了の翌日(復職日)から育児時短就業を開始する場合に加え、育児休業を終了した日と育児時短就業を開始した日の間が14日以内の場合をいいます。
 過去に基本手当の受給資格や高年齢受給資格の決定を受けたことがある場合は、それ以降のものに限ります。

育児時短就業開始日前2年の間に、疾病、負傷、出産、育児等やむを得ない理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった期間がある場合は、当該理由により賃金の支払いを受けることができなかった期間を2年に加算することができます(合計で最長4年間) 。

 

2⃣各月の支給要件

①初日から末日まで続けて、被保険者である月
②1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月
③初日から末日まで続けて、育児休業給付又は介護休業給付を受給していない月
④高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月

 


 

厚生労働省|2025年4月から「育児時短就業給付金」を創設します
厚生労働省|育児時短就業給付の内容と支給申請手続

 



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